第21章 愛の告白を拒む

男は女の手首を乱暴に掴み、そのまま力任せに胸へ引き寄せた。声には抑えきれない歓喜が滲む。

「やっぱり……俺のこと、捨てられないんだろ……帰ってきたんだな……」

抱きすくめられた佐藤詩乃は、びくりと身体を硬直させた。だが次の瞬間、瞳の奥に計算の光がすっと走る。

ここ数日、黒谷優は彼女を徹底的に避けていた。ようやく平井に金を握らせて中へ入り込めたというのに、まさかちょうど酔い潰れているところにぶつかるなんて――こんな好機、二度とない。

今夜、既成事実を作る。あとは子どもさえ出来ればいい。

黒谷夫人の座は、自分のものになる。

「ええ、優……帰ってきたわ……」

胸の奥で渦巻く吐き気と嫉...

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